Cynthia

シンシア

彼女は充足した人生を目指していて、それは友達がたくさんいて、中身のしっかりとある恋をして、ちゃんと就職して結婚して子供を産んで育てて、マイホームを買って、なにか継続できる趣味を持って世界を広げて、本をたくさん読んで映画をたくさん見て、たまに感動して泣いて、そういう、充足した人生を目指していた。
彼女はそれにあこがれていたのだ。
中高生のときには部活に打ち込んで、友達とくだらないことでもちゃんと笑いあってずっと長く付き合えるような友情を築く。誰か男の子を好きなって手をつないで寒い冬の帰り道を並んで歩く。勉強もちゃんとしていい大学に行って、大学のときには勉強もしつつバイトにあけくれておしゃれなものをたくさん買っておしゃれな女の子になる。そのころには自分の好きなものや嫌いなものをちゃんと知っている、総合的に自らを省みることのできる「大人」の一歩目を踏み出している。サークル活動にも精を出してそこで何度か誰かを好きになる。その中にとてもフィーリングの合う人がいて、その人とちょっと長く付き合って、結婚というものを真面目に考えてみる。
それなりにつらいことがたくさんあっても、それについてしっかりと考えて答えを出して乗り越えていく。もちろん隣には友達でも恋人でも、支えてくれる誰かがいる。そういう充足した人生にあこがれていた。そういうしっかりとした人間にあこがれていた。
だけど彼女の人生はそううまくはいかなかった。
彼女は人々と、最終的にはどこかでいつもすれ違った。
中学校のときはいじめられた。彼女には同窓生がなぜそんなことをするのか、その理由はいくら考えてもわからなかった。一ミリも理解できなかった。ただ聞こえるように交わされる言葉の暴力に彼女の存在はずたずたに傷ついていった。同窓会になど一度も呼ばれたことはなかった。彼女の傷ついた魂は、高校生のときに不登校を選ばせた。彼女は高校生活の三分の一、学校に行かなかった。それでもなんとか卒業できて、都会の大学に出て行った。とにかくもう、誰も自分のことをしらないところに行ってやりなおしたかった。すべてなかったことにしようと思い、彼女は大学に行った。
大学に行って、彼女は好きなものを好きなだけ買い、読み、見て、吸収することにつとめた。しかし、田舎から出てきた彼女にはたくさんの洋服はどれも同じに見えた。何を買えばいいのかまったくわからなかった。読んだ本も見た映画も、彼女のなかに何も残さなかった。
彼女には何も残らなかった。
大学に入ると、彼女には友達ができたが、彼女はそれを友達と呼んでいいのかいつもためらった。私は友達のこと何も知らないし、友達も私のこと何も知らない。そうずっと思い続けた。彼女は自分の悩みや、苦しみを友達に少しずつ少しずつさらけ出していった。だけど最終的にはいつもどこかですれ違った。彼女には、言葉は友達の心のなかにうまく沁みこんでいかないような気がした。どんなに言葉をつくしても、苦しみの十分の一も伝わっていないような気がした。
ある日、友達が彼女に言った。
「理解してくれない、できないって思ってるでしょ。でもそれってあんたが理解させないようにしてるんだけどね」
彼女はこの言葉の意味がまったくわからなかった。これっぽっちも理解できなかった。
彼女は恋人を作ることもできなかった。誰のことも好きにはなれなかった。いつまで経っても、彼女の待っているものはやってはこなかった。どんなに待っても誰も彼女を迎えには来なかった。
彼女の友達は、みんな幸せそうに見えた。彼らがただのボール紙の月を本物だと思い込めるのは、それを本物だと信じ込ませてくれる誰かがいるからだった。
彼女は紙でできたさまざまなものを目の前にして待ち続けたが、いつまで経ってもそれを本物だと信じ込ませてくれるような何かはやってはこなかった。



彼女は仕事から帰る夜道を一人でとぼとぼと歩いていた。冬の深夜、誰もいないしんとした路地は寒く、息を吐くと真っ白に凍った。彼女はそれを見て、自分の体温があたたかいのだということを、初めて知ったような気持ちになった。
ときどき生きていることが無性にむなしくなった。だけどそれは誰にでもあることで、それを過ぎればまたなんでもない日々がやってくることを彼女は知っていた。誰にでもあることだった。
真っ黒な夜空には一つ二つ、星が光っていた。じっと見つめるとちらちらとその輪郭が瞬いて、星が遠くの宇宙で確かに燃えていることを想わせた。彼女は澄んだ冷たい空気で身体の中を満たそうと、大きく息を吸った。だけど冷たすぎる空気は彼女の喉の中で凍って、彼女を咳き込ませただけだった。
人生はそううまくはいかないものだ、とわかっていても、いまだに彼女は待ち続けていた。彼女のなかを満たしてくれる大きなものがやってくることを信じていた。信じていなければ、ただこのなにもない空間を抱えて生きていくだけだ。彼女にはそれが怖くてできなかったので、ただ信じ込もうとつとめていた。
彼女の大学時代の友達が、結婚したのだと聞いた。教えてくれたのは別の友達だった。その友達は彼女が結婚式に来なかったことを、体調不良かなにかと心配して連絡をくれたのだが、彼女は最初から招待などされていはいなかった。
彼女は、結婚した友達の名前に、心の中で大きくバツをつける。特に何の感慨もなかった。あの子も、私のほんとうの友達ではなかったのだ。
彼女はそれからしばらく、好きなもののなかに身を埋めることを選んだ。好きな服、好きな本、好きな映画、好きな漫画、好きな食べ物、好きな、好きな、……だけど彼女のなかにはやっぱりなにも残らなかった。本も映画も漫画も、何が書いてあったのか、映されていたのかなにも覚えていなかった。それの何が好きだったのか、彼女はいつも思い出せなかった。
彼女のなかには空洞しか残らなかった。
彼女は、一体なにが楽しくてみんなが笑っているのかわからなかった。こんなに一生懸命考えても、彼女のあこがれていた「充足した人生」を勝ち取っていくのは、いつも何も考えていないような人たちばかりだった。たとえば結婚した友達のような。そういう人々があっさりと幸せになっていくことが、彼女には理解できなかった。
そういえば結婚した友人――あの子はいつか私に言った。「いつまで自分を特別だと思いながら生きてくわけ?」と。
そんなことを言われても、彼女は自分を特別だと思ったことはなかった。むしろ自分は普通すぎるほど普通だとしか思えなかった。
考えて考えていると、ある日突然死んでしまいたくなる。朝起きたら世界が終わっていますように、と願って眠りについて、起きてもそれが叶っていたことなんて一度だってなかった。朝はただの朝だ。いつの時点で死んでおけば私は幸せだったのかと考えることもあった。でもそれは今更考えたって何の意味のないことだった。生きていける限りは、生きていくしかない。
都会にでてきたときのように、誰も自分をしらない場所へと逃げたくなる。どこかへいってしまいたくなる。彼女が目を閉じて想像する風景はいつも海だ。沖縄だの海外リゾートだの、そういった美しい海ではない。水も濁っていて、空も曇っていて、ただ波が白い塊として浜辺に打ち付けてはまた音もなく引いていくような、閑散とした寒い、冬の海辺だ。
死んでしまう前に一度くらい、そういう海を見たい。
彼女は、じゃあこの苦しみをなにか作品にしてみようと思い立ったことがあった。たとえば絵だの、小説だの、詩だの、写真だのに。
だけど彼女のなかからは何一つ生まれてはこなかった。なにも書けなかったし、描けなかった。なにも思い浮かばなかった。彼女は自分の苦しみを何かに変えるような才能もなかった。なにかを一から作ろうとその前に立つと、なにをしていいのかわからなかった。
彼女は夜道を歩きながら、白い息を吐きながら、好きなもののことを一生懸命考えた。何か好きなもの。楽しいこと、好きなもの、好きなもの、好きなもの……
そうだ、と彼女は思った。私は今手袋をしている。この手袋は私の好きなブランドのもので、とてもかわいくて、買ったときは本当にうれしくて、大事に大事に使っていたのだ。彼女はコートのポケットから手を出して、そのリボンのついた黒い手袋をまじまじとながめた。暖かくてかわいい私の好きな手袋。
月明りにすかすように手袋を見たとき、左手の人差し指のところに穴が開いているのを見つけてしまった。長く使いすぎたのだろう、そういえばこの手袋は買ってもう四年も経っている、大切に大切に使ってきたはずなのに、使いすぎてすり切れたように薄くなった人差し指の部分に、穴が開いていた。
彼女はそれを見て、心がすっと冷たくなるのを感じた。彼女には結局空洞しか残らなかった。なにも残らなかった。
あれだけ大事にしていた手袋が、急に色あせてださいただの手袋に見えた。あんなにかわいくて暖かかったはずなのに、それはもうただの色あせた古い布にしか見えなかった。これは私だ。私そのものだ。
彼女は手袋をはずして、道端に捨てた。彼女は充足した人生にあこがれていた。満ち足りることにあこがれていた。だけど手袋一つとっても、彼女の心を空っぽにするだけだった。すべてのものは彼女からどんどん失われてしまったのだ。
空には本物の月が浮かんでいた。真っ白い月は半分欠けていて、それでもとても美しかった。あれがボール紙でできたものだなんて、いったい誰が信じるのだろう?
手袋をはずした手を、冬の深夜の空気が冷たく刺した。それでも彼女はふたたびポケットに手をしまうことはなかった。
それなら私はいったいどうすればよかったんだろう? 誰もそれが本物だと信じ込ませてはくれなかったのだ。
彼女はそう考えながら、暖かい家に向かって足を速めた。彼女の影が彼女を追い越し、足音が路地に冷たく響いていた。(了)

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sketch 18

春かよ、というような陽気が続きましたな~この気温差は身体に悪いから本当にやめてくれ 殺す気か
あったかくなるのは非常にいいと思うんだけどまた明日から寒いと聞いて

お知らせというほどでもないですが、
第24回文学フリマ東京 5/7に出ます~
昨年書いた中編にちょっと加筆したり直したりして、今回はじめてちゃんと文庫サイズで印刷屋さんに頼んでみようと思います。
表紙も描くぞ~
ちょっと何ページくらいになるかはわかんないんですけど

駅前の花屋にフリージアがあったので春か~まだ2月にもなってないんだけど
線路沿いの山茶花は満開をちょっと過ぎて、でもまだ闇の中で赤い
あんまり思い出したくないことが多すぎて、2月は
でも忘れたいことほど鮮明に覚えてる 失いたいものほどなくならず残り続けて
失いたくないと思えば思うほど手の中を簡単にすり抜けていく 何でだろうね?

イノセント

冬の新宿駅は人でごった返していた。夜だった。これだけの人間がいるのにもかかわらず、夜風は寒く開けたシャツのボタンから容赦なく私の体を切って行った。コートも重いだけで防寒にそれほど貢献していない。私は人の間を縫うように早足で歩いた。

目の前のカップルが肩を寄せ合って腕を組んで歩いているのを見て、反射的に蹴飛ばしそうになった。が、それは言ってみればらうらやましいの延長線上の行為で、私はその時好きな人のことを考えていた。

美しい、愛、やさしさ、体温、冬は愚かだ。寒いというだけで誰かを抱きしめる口実ができる。私にはそんな口実は必要ないと言えども、たまに抗いがたいほどの羨ましさを感じた。抱きしめて欲しい。でもそれは不特定多数のだれかではなく、私の場合は相手が決まっていて、それはつまり私の今の好きな人で、多分都内で今も働いていて、私のことを好きではない、そう、だから私を抱きしめる腕はどこにもなかった。

永遠は手の届かないところにある。

永遠は手に入らない。永遠の愛とか永遠の幸福とか、そんなものは、ない。

ただひとつ永遠と呼んで差し支えないものといえば、それは「死」だけだ。

私は走り出しそうになる。

もうとにかく今すぐ会いたくて会いたくて、なんでかわかんないけどそのひとじゃないとダメだ、という状態が5年くらい続いていて、私はもう潮時だなと冷静に考える頭の反対側で、どうしても会いたい。

一昨年の1月末、まだ付き合っていた頃。

私の方が起きるのが早いから、10分くらいずっとその寝顔を見ていた。とにかく毎日でも会いに行きたい!レベルで連絡を取り合っていたから、きっと自分の時間なんてぜんぜんとれなかったんだろう。タオルを目に巻いて苦しそうに眠っていた、私はそれを自分のせいだと思った。

人は言う「お前の恋愛って中学生がやるやつだよ」

人は言う「よく考えてみればその男そんなにいい男ではないから」

人は言う「もっと周りに目を向けたら、次に突然好きになる人が現れるかもしれない」

すべて正しい。私は理解している。

でもこの、心の底から湧き上がるような感情はなんなんだろう。

タオルで隠れる目を避けながら私はその人の顔にキスをした。頬に、唇に、指先に、タオルをめくって、閉じられていたそのまぶたに。鼻先に。

やがていやいや起こされた彼はそれでも私の方に向かって手を広げる。私はそこに滑り込むようにして抱きしめられる。抱きしめられたその腕の強さを、私がすぐに忘れてしまったとしても。

「もう準備して会社行かなきゃならない。」

でも思うんだが、その一瞬の行為の中に私は永遠を見ていた。世の恋人達もそう、世界は自分たちのために回っていると思っている。私もそうだった。広げられた手、あの一瞬だけは世界が私のものだった。

実らない恋を力技で推し進めることに未来なんてないことは知ってはいた。

私はそれを十分すぎるくらい知っていた。

でも私が欲しいのは瞬間であり永遠だった。ふれていること、肌の感じ、閉じられたまぶたの先の長い睫毛、高い鼻、特徴的な声。その瞬間をぎゅっと凝縮して私の中にひとつ美しいナイフができる、それは人を傷付けない。ただのメタファーだ。愛というのは永遠からは程遠い。

愛は瞬間で、すぐに通り過ぎて行き、私の魂にたくさんの傷をつけ、でもその人が生きていればと思えば思うほど、私もなんか生きていけそうな気がしてくるのだ。

私にとってはそういうものだ。

思考のトンネルを抜けたら雪国ではなく、相変わらず高いビルとたくさんの人で私は家に帰り着くことだけを考えることにした。

神様は言った。

「そんな話はどこにだってよくある」 私が返事をする前に、神様は雑踏に揉まれて消えていった。でも神様、私は確かに一瞬の中に永遠を見ていた。見ていた。見ていた。

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sketch 17

本当に寒くて寒くて冬って感じがするね~
私は寒いのがとても嫌いなんだけど寒いのはとてもきれいだからなんとも言えない
星がたくさん見えるとか、吐く息が白いとか、空気吸ったときに肺の中がぐっと冷たくなる感じは好きだ
でも寒いと不調になるからやっぱり嫌いだ……
雪は見ているのは好きだ、きれいだ、でも雪かきは嫌いだ
今日は都内でも粉雪が舞った

ところで職が変わって二か月くらいが経過しようとしている。
まだ慣れないことだらけで、でもとてもいい環境で働かせてもらっているなと思う
つくづく運がいいんだな私は……

さいきんはですねー
ぱったり行くのやめていたカウンセリングにまた行き始めた
何で行くのやめてたかっていうと、カウンセラーの先生が相槌しか打ってくれなくて私はただ言葉を壁打ちしてる気分になったのとあとお金ないので行くのやめたんだったんだよね
次のカウンセリングは前回よりも時間が短いけど、費用は安いし、まだ一回目だったので様子見て通おうと思う……
たくさん色んなことをしゃべっていると、一瞬だけ本当の言葉が出てくる
私はいつも嘘ばかりついている。意識してるわけではなく、それもまた一つの真実で、決してすべてがまるっきり嘘なわけではないけど、
私は「自分」という名前の第三者になりきっていつも言葉を発している、という自覚がある
自我は統合されている。どれもこれも私の側面であり、矛盾があっても別人のようでもそれは全て「私」なのだ。
そういうマトリョーシカのような精神構造を自覚して、それでもやってる
それ以外に方法が見つからないから
でもどばーっとしゃべっているとその言葉の中に、「本当」のことが混じっていることがあって、
それは私Aでも私Bでも私Cでもない、ただの私の言葉だ
「だって本当のことを言ったら必ず誰かは傷つかなきゃいけないじゃないですか」
この言葉が口をついて出た瞬間に、私はうっかり泣きそうになってしまった
今同じ言葉を口に出しても泣かないんだけど、別に
「本当」が何なのか、「真実」がなんなのか、私にはわからない。その正当性に何の担保もないし
でもあの瞬間のあの言葉は多分私の「本当」だったのではないかな、と思いました

楽しいにいくら言葉を尽くしてもさよならの永遠に勝てない
消えていくものは消えていくのにまかせたままでいいと思っている、愛とか、言葉とか、記憶とか、心とか
失くしたくないとどんなに思っていても必ず失う、私は
失いたくないから手放さないように努力するけど、それでも消えていくものが
世の中にはたくさんあるんだと、そう思うことがある

そういや雪見てて思い出したけど、去年か一昨年くらいの冬、作った短歌があったなあ
真夜中に音も立てずに想いあう 君も雪なら僕も雪です

師が走るらしいので私も走る

あ……れ……?もう年末……?となっております。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。私はあまり変わってないです。
相も変わらずお薬飲み放題です(反省しよう)
このままでは内臓がボロ雑巾になる まだ死にたくない……

ところでみなさん12月、ついこないだ発売になった銀杏BOYZコンピレーションアルバムは買いましたか?
私はなんのためらいもなく購入しました
だってクリープハイプ援助交際歌うっていうから……
結果まったく後悔のないアルバムでしたんで強くおすすめします
わりと原曲に忠実なアレンジもあれば、ああこれはもう…YUKIちゃんの曲だね…YUKIちゃん……
個人的には曾我部恵一が非常に好きなのでそこだけで大満足でした
わりとこうシューゲイザーっぽい?アレンジで

あとハイプの援助交際最高でした 尾崎のあのやる気のないワンツースリーフォー
バックコーラス多分峯田だと思うんですけど(耳悪い)
尾崎「あああー世界が滅びてしまーう―」
峯田「やったぜー!(バックコーラス)」
こんなん笑うしかないでしょう……マジで……

なんか人から借りているDVDだったりTBSオンデマンドで今更逃げ恥見てたり
今更ダヴィンチコード読んでたりするんですけど、
結局休みの日は寝るしかできない。ご飯つくる元気はない。栄養が何なのかよくわからない。
ということで絶賛風邪ガン決まり中です。皆様お気をつけて

最近ものをまったく書いていません。
焦ったりぼーっとしてたりしています。とりあえず毎日生活するのに必死です
毎日呼吸をするので精いっぱいです
そんなかんじで今年も終わっていきます メンヘラ10周年を迎え今後どうなってしまうのか考え始めると宇宙の闇

自分の思考や認知が歪んでいるということはわかるのですがそれを直す方法がわからないんです
毎日とにかく一生懸命走っていてふと後ろを振り返ると、本当に恐ろしくなる
ずいぶん遠いところまで来てしまったんです
もう帰ることができないところに
なので壊れながらこのまま突き進むしかないんです
私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ!私。

sketch 16

明日から11月!

「そういう運命だったんだよ」って言葉を聞くたびに思う
「運命」っていう言葉って多分、誰かが何かを諦めるときに自分を納得させるためにつかう言葉だということ
最初からそういう風に世界はできていて、そういう風に決められていて、だから仕方のないことだったんだと
私はそうは思わない、と心のなかでひそかに「運命」という言葉に、そういう概念に中指を立てている
人生には選べる道がたくさんあって、でもそれ以外に選べないこともあって、たまに道は一つしかないこともあって、
理不尽なことや不条理なことや、納得のいかない理由で人が死んだり悲しんだりする
そういうとき誰かが、「それは運命だったんだよ」って言って、納得できるか?
もしそれが本当に運命なら私はそれを憎む
いつかすべてが消える。私の命も消える。私の愛する誰かの命も消える。
でもそれは別に運命とは関係ない
私の前に広大な草原や、あるいは水平線の見えないほどの海が広がっていて
私は路地のどこで曲がってもよくて、仕事をさぼって電車で遠くにいってみたりしてもいい
極論死んでみたっていい
でも、それはべつに「運命」じゃない。
私が愛したこと、愛されたこと、誰かの胸に抱かれて眠っていたこと、安心したこと、優しくされたこと、与えられたこと
私が傷つけたこと、損なわれるほどに傷つけたこと、逆に傷つけられたこと、私が与えたすべてのもの
それは、私が、選んできたことであって、運命ではない。
捨てられたことも捨てたことも、みっともなく追いすがって泣いたことも、冷たい言葉を吐いて再起不能にになるほど傷つけたこと
これはすべて、私のものだ。だれのものでもない。
「それが運命だったんだよ」という言葉は光より早く私の胸を貫く。
そうやって私を納得させ、前に進ませようとする。
でも私は「運命」を信じない 運はいいけど
傷ついたことも傷つけられたことも愛したことも愛されたことも捨てたことも捨てられたこともすべて、
すべて私が選んだ。すべて私のものだ。
それがどんな罪であろうと対する罰がなかろうと、そういってもなお愛してくれる人がいるとしても、
それすら私は全部自分で選んできた。他人に強制されたことなんて一度だってない。
笑ったことも、涙を流したことも、怒ったことも、悲しみが胸に詰まって息ができないときも、毎日ぼんやりとした抑うつ状態に身を置きながら会社に行くことも、転職することも、親元を離れ生活していることも、誰かを傷つけてしまったことも、捨ててしまったことも、失くしてしまったことも、全部、全部だ。私が選んだ。
これから私が何一つ成し遂げることなく一生を終えようとするときも、たぶん私はこれを自分が選んだと、胸を張って死にたい。
すべてがもう最初から決められている「運命」だというのなら、私はそれにバーカ!と叫びながら走り続ける。
私達は「偶然」、「運命的」に、「会えた」んじゃなくて、
私は最初から君をずっと探していて、そうして選んで、選んで、やっと出会えて、そしてまた別れる

私は確かに与えられていた。たくさんのものを与えられていた。
そしておそらく私も与えていた。愛や、憎しみや、苦しみや、悲しみや、優しさを与えていた。
運命が追ってこられない場所まで私は走って逃げるのだ。
光よりも早く。

sketch 15

生きてるといろんな失敗をするし今朝もいろいろと失敗したなーという気持ちが襲ってきて
もしかしたらそんなに一生懸命気にすることでもないのかもしれないけど
寒いしそれも相まって
痺れるほどの孤独を感じている
しかし出なくていいときには簡単に出るのに、涙
出したいときには全く出てこない、涙
泣いたりしたら楽だし、たぶん、声を上げて
でも子どものときみたいに、泣いたら撫でてくれる手はない
おとなになるってそういうことなのかもしれない
本当はとても後悔していることがたくさんある
謝りたいこともたくさんある
たまにそういう夜が来る
peridotsの「話を一つ」が好きで

「僕のなにが君を傷つけたかわからない
僕はそんな僕を許すことしかできない
これが愛を避けてることになるというのなら
僕はザイルを手放すんだ

僕らの街に移動遊園地がきた
君は遠くを見ているが
僕は眼鏡をはずすだろう」

ここが好き
理解し合うことやわかりあうことなんてできない
私には理解できない、わからないところを愛してる
他人を諦めてるわけじゃない
でも、そう言い切る私は淋しい人間なのかもしれない
淋しい、とても淋しい