sketch 2

会社の前に沈丁花の植え込みがあって、いまの時期満開だからとてもいい匂いがして、そこを通るのが毎日楽しみです
ハイヒールを履いて社会人の顔をして沈丁花の前を通り過ぎるときに私は子どもの頃のことを思い出せなくなったなと、考えていました
春が来た
春は喪失の季節
春はいつも雨と嵐の予感がする

とんでもない間違いを犯してもうそれは取り返しがつかない、いつも取り返しがつかない、損ねてしまって2度と戻らない、失ってしまって2度と戻らない、もう戻ってこない、2度と手に入らない、やり直しなんてきかない、やり直しなんてできない、そんな気持ちで今すぐ荷物まとめて実家に帰りたい、春はそういう気持ちになります
身体の中に何か別のものを飼っています