いつでも探しているよ

山崎まさよし 名曲

目の前に三年間好きだった人(に似ている人)が立っていて、満員電車で、

服が触れ合うたびに私は過去の触れ合いを思い出し心拍数を一人でドゴドゴあげ、だらだらあせもかき、あーまだこれが恋か、と思った初夏の夜

心をかき乱さないでおくれよ

こんなとこにいるはずないのにね

類似点を見つけてはゲームをする 大抵別人でGAME OVER

心をさらけ出すより体を晒した方がまだ楽なのかもしれない、どっちにしろ傷つくとしても

だとしても

私が安心して心をさらけ出せた稀有な存在としてこれからも生きてってくれ

遠いところでいい

別に近くてもいい

あなたはあなたの生活を

 

私は私の生活を

相変わらずですが好転の兆しがあるから

もう少しやっていけそうな気がする

「愛したら報われるんなら どんな手でも使うとこだったけど/

君のいない世界にだっておそらくなんらかの意味を見出す/

そんなことは当たり前になってしまう/

働こう」

syrup16g「十六夜」ツアー最終夜ニコ生

ニコ生の時間には間に合わなかったので、タイムシフト予約して見てきました~~ううっ

一応セトリはこんな感じだったのですけど
1.変拍子
2.Find the answer
3.Vampire's store
4.生きているよりマシさ
5.来週のヒーロー
6.Sonic Disorder
7.タクシードライバーブラインドネス
8.パープルムカデ
9.I.N.M
10.正常
11.落堕
12.coup d'Etat
13.空をなくす
14.Drawn the light
15.翌日

アンコール#1
16.無効の日
17.生活
18.神のカルマ
19.Share the light
20.天才
21.真空

アンコール#2
22.リアル
23.Reborn

シロップのライブに生でいったことなかったんですけど、今回のニコ生は絶対見なきゃ!!と意気込んで3日暗い精神状態が悪くて放置していました。ようやく見ました。

セトリについてめちゃめちゃうれしい!のは「タクシードライバーブラインドネス」やってくれたことです。
シングル曲にしか入っていない名曲。

未来は無邪気に割り振られ人は黙ってそれを待つ

あとは「生きているよりマシさ」は私の中で最近のかなりスマッシュヒットだったので、PCの前でダラダラ泣きながら聞いてしまいました。

もう君と話すには 俺はショボ過ぎて
簡単な言い訳も 思いつかないんだ
戸惑いの奥にある 強い不信感を
跳ね除ける力が残ってたらいいのに

君と出会えたのがうれしい
間違いだったけどうれしい
会えないのはちょっと寂しい
誰かの君になってもいい うれしい

最近の心情にかぶるところがあって涙…

あとお客さんの手がかなり上がってましたね!最初五十嵐の喉がガラッガラだったり転調間違えたりでどーすんだ?と思ったけど、後になればなるほど調子が良くなってきて、アンコールが本番でした。COPYからの2曲、神のカルマ、最高でした。

やっぱりSyrup16gを根底で支えてるのって優秀なリズム隊で、マキリンは相変わらずしびれるベースライン、たいこのお兄さんはトークやシャウトも含めて安定のブレなさ。

これから新しい仕事が始まるんですが、初任給でやっぱり生還ライブのブルーレイ買おうと。。。

なんか他にもいろいろ思ってたことがあるはずなんですが、鳥頭なので「わーーすごかった」で終わってしまいます。
お休み終わってまたライブしてくれる時、絶対元気になってて行くからな!!
ちょっとお休みという言葉に不穏なものを感じないわけではないですが、とりあえずあの3人を信じて待ってます。
サイコーじゃった~~

ブリリアント

金魚の気持ちを知りたかったの。
と、私が言ったら、八代さんという私の従兄は、え?というような顔をして私のほうを見た。
「金魚って、この金魚?」
と、彼は窓際の本棚の上においてあるいかにもな金魚鉢を指差して言った。
私はうん、と頷いた。
八代さんの金魚鉢の中では、二匹の金魚が気持ち良さそうにひれを揺らめかせて泳いでいた。オレンジ色が一匹と、黒が一匹。まるでオレンジ色のドレスを着た貴婦人が、真っ黒なタキシードを着た紳士とダンスをしているような優雅さがあった。床には水の影が、きらきらと揺れていた。

「昨日、うちの金魚死んじゃったんだ」
八代さんは、まあお気の毒に、というような顔をして私のほうを見た。そして、自分の金魚をちらりと見た。
私の金魚は昨日、三匹いるうちの一匹が、苔だらけの汚い水槽のなかで、白い腹を浮かせて死んでいた。何年か前に縁日の金魚すくいでとってきたものだった。
一応三匹にはそれぞれ名前がついていたけれど、どれも同じようなオレンジ色をして、結局どれがどれなのか分からないまま、金魚は庭の暗い土の下だ。
土をかける瞬間、あれだけ鮮やかだったオレンジ色が、油膜みたいな色の光を弾いて、くすんで見えた。私は申し訳ない気持ちになって、手を合わせたのだった。
「私が思うに、あの金魚は水槽が狭すぎて窒息死したんだと思う」
「狭すぎて?」
「そう、息ができなくて」
確かにあの小さな水槽に金魚三匹は少しきつかったと思う。それに加えて、縁日ですくってきてからもう二、三年は経っているのだから、成長して身体も大きくなっていただろう。
私は密かに、あの金魚は自殺だと考えていた。狭い世界からのエスケープを図ったのだ。
しかし金魚が水中で呼吸を止めても死んでも、結局それはただの自然死にしか見えないのである。だから私は昨日、あんなに金魚がかわいそうに見えたのだ。
八代さんは私の頭に手を置いて、かすかに撫でるように動かして、
「君は、金魚なんだね」
と言った。
八代さんは不思議なことを言う人だった。彼は芸術家肌なのだ。だけど、私の心が全部透けて見えているんじゃないかと疑うくらいに、ときどき妙に確信をつくことがある。

家に帰って水槽を見た。
二匹になってしまった金魚は、一匹減ったことなどまるで気付いていないように泳いでいた。
「この薄情者が」
と、私は悪態をついた。
金魚には、濁った水の方がお似合いだ、と私は思う。まるで嫌味のように聞こえるけれど、嫌味ではない。
清んだ水よりも濁った緑色みたいな水の方が、余計オレンジ色が鮮やかに見えるような気がするのだ。二匹のうち一匹が、私の前をゆっくりとターンする。優雅にオレンジ色がきらめいた。
やはりこの子たちにとっても、水槽は狭すぎるのだろうか。金魚の目には、世界はどう映るのだろう。濁った水を通して、ガラスを通して。泳ぐことは気持ちのいいことなのだろうか。水はまるで、羊水のように温かいのだろうか。
そういえば、鮮やか、という字は、魚に羊と書くなあ、と私はぼんやりと考えていた。

金魚の気持ちが知りたかった。
一、二の、三で大きく息を吸って、私は風呂の中に潜る。浴槽は狭いけれど深いから、足を踏ん張って、身体を底まで沈めると、水圧で息が苦しかった。
仰向けでゆっくりと目を開ける。
ぼやけた視界の中で、私の長い髪が水草そっくりにゆらゆらと揺れていた。
今ここで呼吸を止めたら、それはただの自然死だろう。狭い世界からのエスケープだ。
少なくとも、私の中では。

勢いよく水から顔を出して、私は大きく息を吸った。
羊水から出てきた胎児の気分って、こんな感じなのだろうか、と考えた。水面から顔を出す一瞬、頭の中をオレンジ色のひれが横切っていった。それは目を瞑っても、光の残像のように、ゆらゆらとかすかに漂っていた。(了)


かなり昔の話

sketch 35

寒の戻りというマジックワードで死亡寸前です。
身体は重くだるく雨に濡れた土嚢を引きずっているような感覚
まっとうに生きるためにいろいろしなきゃ、しなきゃという言葉NGワードつっこみましょう
小説、断片的に書いてます。締め切りまでにまにあわせんとなあ、、、
節制をキーワードに今年の春はやってみよー
明日は雨の中バイトかと思うとちょっとしんどいです

沈丁花が咲きました。
日本水仙も咲いた。
家の中に花を飾ると気分が良くなると聞いたので
今度チューリップ買ってこようかなア、春の花で一番好き

身の内にいま怒りのような感情があって自傷自傷自傷!と心が叫ぶ
不安は増殖する。明るい光を求めているが、強すぎる光は身を灼いてしまう哀れ誘蛾灯
いつになったら向こう岸へたどり着けるのか、待っていて
とりあえず、たぶん書くこと なんだろう私の場合は
怒り 去ってくれないかな

コスメティック✫センセイション

(タイトルに特に意味はない)面倒なときずっとすっぴんでいるんですが、最近化粧をして出かけることが多くなったのでちゃんとしています。
私は10代の頃からマジョリカマジョルカのファンなんですけど、アイテムひとつひとつの名前がかわいいよね

公式のアイシャドウパクトは生産終了?になってしまったみたいで、まあそもそも2個しか入らないもんなあ。。。と思っていたら
エテュセのアイカラーパクトが3色入るらしい。これは買わねば・・・と思いましたがこちらも公式では販売中止。。。かなしみ
Amazonにありました!(残り3つだった)

エテュセ パクトケース(アイカラー用)

エテュセ パクトケース(アイカラー用)

これ3色入るらしいので楽しみです。*1
ちなみにマジョマジョのアイメイクのセットの奴は発色があんまりよくないと思ってるけど、
バラ売りはかなりいい感じで色ついてくれます。

ゴージャス姉妹

マジョリカ マジョルカ シャドーカスタマイズ BE286 ゴージャス姉妹 1g

マジョリカ マジョルカ シャドーカスタマイズ BE286 ゴージャス姉妹 1g

ゴールデン

マジョリカ マジョルカ シャドーカスタマイズ GD822 ゴールデン 1g

マジョリカ マジョルカ シャドーカスタマイズ GD822 ゴールデン 1g

ジンジャー

マジョリカ マジョルカ シャドーカスタマイズ BR665 ジンジャー 1g

マジョリカ マジョルカ シャドーカスタマイズ BR665 ジンジャー 1g

この3色から選んで重ね付けしてます。基本ベースはゴージャス姉妹
ゴージャス姉妹+ゴールデンか、
ゴージャス姉妹+ジンジャーのどっちかが多いので3色全部はあんまりないかな。
発色がいい!ラメラメ過ぎず控えめな感じがとてもよいです。
ここに普段はKATEの一番濃い茶をアイライン代わりに使っています。そんで、マジョマジョのペンシルアイライナー(茶)をひく。

あと最近チークはデカいブラシで置いた方が自然になるんだなと思ったので、セザンヌのやっすいチークをやっすいチーク用ブラシで塗ってます。でもほわほわして、付属のブラシで付けるより圧倒的に良いです!
私は柄じゃないのにジルスチュワートのチークが大好きで、いつかもう一回ほしいなと思っている(前回のは落として割れてしまった…)

マスカラはメイベリンです。長さ重視してます。

あとは肌がもうちっときれいになればいいんだけど、気がつくとあっちこっちに吹き出物ができています。
ハトムギ化粧水だばーっとやったのち、ルルルンのシートマスク7分~10分やって、そのあとニベアで蓋してます、
ちょっとはましになったかなーと思いつつ、化粧落とさないで寝てしまった!!!!ときとかは簡単に吹き出物くんが登場してくれる。帰れーーー!!!

口紅はほとんどつけないんですけど、エスティローダーのアウトレットで買った奴重宝してます。いい感じの薄いピンク、あとめっちゃいいにおいする
あとはkissの7番使ってますがこっちはちょっと濃い。あんまり使う機会がないけど気が引き締まりますなあ。アナスイの真っ赤な奴はTPOに合わせて使ってま(基本使うTPOないです)。

そうそうところで奥さん、私最近クリニークのペンシルシャドウにめっちゃはまってます!
ペンシル型だからアイホールとかにぐるぐる書くだけで、目元明るくな(ったようなきがする)。

www.clinique.jp

これこれ!めっちゃ時短できます。あと色が綺麗で、ラメー!というよりしっとりしたシアーなタイプ。
1番持ってたんですが、2番4番も買ってしまいました(また無駄な金を)

こういうことに興味だとか、喜びだとかを覚え始められたのっていいことだと思います。
あとはご飯食べたり、服買ったり、そういう興味をちょっとずつ広げていきたいと思います。

という比較的まともな近況

*1:届きました〜バッチリ3色収納できて余は満足です。

sketch 34

今日はあまりにも春で私の心も落ち着かなくてなんか嫌な感じです。
昨日? 今日になって突然風の匂いが変わりました。
季節はいつも気づかないうちに忍び寄り私の大事なものをすべてさらって遠くへ行ってしまう
私はその後ろ姿を眺めている。柔かそうなライラック色の布が、誇りまみれの地面にふわふわ舞って落ちる
私の心はざわめきざわめき、正気を保っているのが難しくなるくらいに

気づけば毎日グリーンスムージーを飲んでいます。。。うまいよ。

きみは天使だった

『神様明日の朝幸せになってますように、なってないなら死んでますようにと願って眠りについて、次の朝目が覚めたときどっちも叶っていなかったときの絶望の話をしようか?
でも多分それは絶望と呼ぶには温すぎて、誰かに話をすれば笑われたり怒られたりするのかもしれない。痛みや感情は相対値じゃなくて絶対値であることをみんな結構よく忘れるからだ。私にとっては絶望する! に限りなく近しい朝は誰かにとっては別にいつもと変わらない、よくある毎日のなかのただの朝だ。
私は毎晩毎晩神様にお祈りをしてから眠りにつく。明日の朝幸せになっていますように。なってないなら死んでますように。それか世界が滅んでますように。そしてそれは毎日叶わない。ちゃんと毎日同じ朝が来て、電車が動いて私は出勤する。
そもそも幸せがなんなのかわからないんだから神様だって叶えようがないのだ。』

「うたのパパを殺したい」
 俺はそれを聞いていよいよ緑の頭はやべえなと確信する。緑はもともとちょっと変なところがあって友達と言ったら俺とうたしかいないようなもんだけど、俺も友達やめたくなるレベルでやばい。たぶんこれ聞いたらうたも友達やめたくなる。
 まあ緑には友達がいないのではなく、緑が友達と思ってないだけだ。クラスの女子と仲良くしゃべっている姿ももちろん見かける。そもそも俺だって同じクラスの緑という女子と一日中行動を共にしてたらそれはすごい変だし、だいたい友達がいないのは俺ということになる。でも緑が友達だと心から思っているのは、たぶん俺とうたぐらいのもんだろうというのははた目から見ててもなんとなくわかるのだ。「緑、俺とお前は友達だよな?」
 そう聞くと緑はちょっとムッとして「お前って呼ぶのやめてくんない?」と言った。「友達だよ。ヤスは唯一の友達」
 俺はちょっとほっとして答える。
「なんでうたのパパを殺すとか言うの」
「だってうた新しいパパにヤられちゃうから」
 何てこと言うんだこいつは。俺は目の前が真っ暗になったような気がした。気がしたっていうだけで、長野市の夏は相変わらず湿度が高くて空が青くて暑いし眩しい。
 長野市立第三中学校の体育館わきのチャリ置き場で、これから帰る俺と緑は話をしている。
「なんでそういう話になるんだよ。うたのお母さんが再婚するってだけで、なんでその新しい親父にうたがヤられんの。話飛躍しすぎだろ」
「いや間違いないね私にはわかんだよ。ヤスにはわかんないだろうけど。こないだそういう本読んだし」
 本当にいよいよ緑の頭はおかしい。
「いや、それは小説の話だろ。現実じゃないだろ。何読んだんか知らないけどうたの親父がうたに手出すって決まったわけじゃないだろ」
「でもうた、かわいいじゃん。私がうたの新しいパパだったら絶対うたのことそういう目で見るわ」
 こいつは結婚しない方がいいし、性犯罪で捕まるからむしろ家から出さない方がいいし近所の小学生男子とか襲う前に俺が矯正しなければ……と思って俺は肩を落とす。非常にめんどくさい。
 ところで俺たちが「うた」と呼ぶその子は隣の二組の女の子で、花園うたと言う。うたは本当にマジで俺と緑しか友達がいない。なぜならうたは保健室登校をしていて、学校にきてもずっと保健室にいてクラスの授業になんて出ないからだ。
 うたは俺たちが小学三年生のときに、隣の学区の小学校に転校してきた。それがもう本当に薄幸の美少女って感じではかなげで細くて折れそうで白くてかわいい。初めて会ったときから俺のアイドルだ。うたは光っていた。冗談とかじゃなく本当に俺の目にはうたは光って見えた。
 でもいくら性春真っ盛りの中学三年生でも、俺はうたでは抜けない。グラドルの水着の巨乳の谷間とか、同じクラスの美人の最上の運動服の半袖から覗く脇とか、ネットに違法で上がってるAVしかもちょっとうたに雰囲気の似た子とかではガンガン抜いても、絶対うたでは抜けない。なぜならうたはそういう欲望みたいなものと無縁の世界で生きていかなければいけないからだ。それは俺がただ勝手にそう思っているだけなんだけど、でもそう強く思わせるほどに、うたは本当に儚いのだ。儚いというものが具体的にどんなものか俺には実はよくわかってないんだけど、とにかくうたを一言で現せと言われれば、儚いというほかない。
花園という苗字は京都のもので、うたは京都で生まれたが、最初は父方の祖父母の家でほぼ監禁されるみたいに育てられていた。うたは認められた子ではなく、うっかりミスって産まれてきてしまったのだ、と祖父母に言い聞かせられるみたいにして育ってきた。そう、実のところ年若かったうたのお母さんは、そのときすでに結婚していたが子どもができなかった超金持ちのうたのお父さんと不倫して、その末にうたが産まれてきた。うたとお母さんは引き離され、うたは世間から隠されるみたいにして育ってきたから、うたは当然京都でいじめられた。そのあとうたのお母さんが頑張って頑張ってお金を稼いでうたを半ばさらうみたいにして取り返して長野県の田舎に逃げるように移り住んできた。
 でもこのド田舎はそういう噂はすぐに広まる。俺はそれをよく知っている。だから転校してきた小学校でもうたはいじめられて、三年耐えて卒業後、俺と緑と出会ったこの第三中学校でももちろんシカトくらったり陰口立てられたりひどいときには上履きのなかに給食で出たドレッシング全部入れられたりして、いまじゃすっかり保健室登校なのだ。
うたのお母さんは駅前の大通りをちょっと左に入ったところにある、飲み屋が集まる「要町通り」の小さなスナックで働いていて頑張ってうたを育てている。何度か会ったけど、うたのお母さんは本当に太陽のような人で、いつも笑ってて、いつもあんまり笑わないうたとは対照的だ。バイタリティに溢れている。でもうたのお母さんはうたのことが大好きだった。たまに全然喋らないでぼーっと虚空を見つめているような不思議ちゃんのうたのことが大好きで、そういうのちゃんと伝わってくるから俺は好きだ。
 不倫は良くない。不幸になる人が必ずいるから。
 でもそれでうたは生まれてきた。それは俺はよかったなと心の底から思う。
 矛盾してるけど仕方ない。
 話は戻るが、スナックで働いているお母さんはどんなご縁か東京で学校の先生やってるっていう人と再婚することになって、うたは今度また東京に転校しそうなのだ。緑はたぶん寂しいからそんなバカなこと突然言い出したのだろう。
「てかお前はよく考えた方がいいよ。まだヤられるかどうかなんてわかんないのにうたの親父殺してどうすんの」
「ヤられてからじゃ遅い」
「いやだからその前提いらねーよ。まだ俺たちうたの親父さんがどんな人かすら知らないじゃん。だいたいどうやって殺す? 死体とかどうするん?」
 と、ここまで言うと緑は黙り込む。そして俺を恨めしそうな目で見て、ヤスは悲しくないん? うたのこと好きじゃないん?」
 と言う。何言ってんだかなこいつはなと思いながら「俺だって悲しいよ、うたと離れたくないよ」そういうのが精いっぱいだった。

「こうした研究のあと、生まれついて魂の数は十四個に分かれていることがわかりました。記憶がある子もいるかもしれないけれど、魂検知マーカー検査を、人は生まれたら必ずやります。それは義務だからです」
「先生、魂は一箇所にとどまるものなんですか」
俺が挙手もせずに聞いても、先生は何も言わなかった。クラスの三分の一が寝ているのだ。緑も例外じゃない。机に突っ伏して小さい寝息立てている。
「そうですね、魂は常に流動して体の中を駆け巡っています。ですからマーカーで色を付けて、ちゃんと十四個あるのか確認します。十四個に満たないものや、十五個あるなんて言う人も中にはいます。その際の対応については諸説ありますが、基本的には魂の切除などすると、人格形成にも関わってくると言われていますので、そのままにしておくことが多いです。」
俺が魂検知マーカー検査をした時の結果は、家のアルバムに挟んである。虹色のそれぞれの色を濃い・薄いの二色ずつにして出てくる検査結果の紙に、俺の魂は綺麗にプリントされていた。十四色の魂。あなたの魂はふつうです。
いまこの瞬間にも俺の身体の中をものすごいスピードでこの十四色が駆け巡っている。
マグダラちゃんは、ラジオで「私は生まれたときマーカー検査を受けるのを拒否した。その義務を果たさなかったから、生活はいつも苦しかった。ただ、他人に自分の魂を触られるということがとても嫌だった。私じゃなくて、私の両親が。だから生活はいつも結構ギリギリだった。
 あとあと調べてみると私には魂が十三個しかなくて、それで何か納得した。自分が生きていくのに何かが足りないという気持ち。すとんと納得いったの、魂が足りなかった」
と言っていた。
「ちょうどメールが来ましたね。日本、大阪府にお住いのラジオネーム『月子』さん。月っていいよね、私は好きだよ。『いつも楽しくラジオ聴いてます』。ありがとう。『マグダラちゃんは何色の魂がなかったんですか?』」
 「説明するのが難しいんだけど、私の場合は色すらなかった。十三個の魂の全てが青い色をしていた。宝石みたいな、海みたいなグラデーションだった。」

俺の魂はちゃんと標準的に十四個あって、多分緑もそうだろう。うたの魂は、実は十五個ある。

memo 続かないかも